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コラム
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2006年6月号 高脂血症

閉経を迎えた女性がかかりやすい病気があります。骨粗しょう症は広く知られていますが、そのほかにも子宮体癌、腹圧性尿失禁、高脂血症などが代表的でしょう。今回は増えつつある生活習慣病のひとつ、「高脂血症」と閉経との関係についてお話します。

高脂血症とは特に自覚症状も無く、日常生活に不都合な症状も出にくいため見過ごされがちですが、放置すると動脈硬化や心筋梗塞などのやっかいな病気を引き起こします。多くは血液検査で発見されることが多く、血液中の中性脂肪やコレステロールの値で診断されます。

では、なぜこれらの数値が閉経と関係あるのでしょう。これは卵巣ホルモンのひとつであるエストロゲンの作用によります。エストロゲンには、血液中のHDLコレステロール(善玉コレステロール)を増やしたり、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が増加しないように防いだりする働きがあります。閉経を迎えると、このエストロゲンの分泌が低下してしまいます。こうして血液中の中性脂肪やコレステロールなどに影響し、生活習慣病である高脂血症にかかりやすくなるのです。この「脂」が多い血というのはご想像のとおりドロドロの血ということ。ドロドロ血は血管の中を流れにくく、これが動脈硬化などさまざまな病気をひきおこすのです。

宝塚市では40歳以上の市民を対象に健康診査をおこなっており、これに血液検査も含まれています。費用は1、000円で受けることができますので、閉経後も定期的に体のチェックを行い、生活習慣病の予防に努めましょう。


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2007年7月号 肩こり

厚生労働省が行っている2004年の国民生活基礎調査によると、女性が訴える身体の不調のうち、1番にあげられるのが「肩こり」です(ちなみに2番が腰痛、3番が手足や関節の痛みとなっています)。実際、日々の診療でも若年層から年配の方までの共通した訴えであると感じさせられます。

ところで、なぜ女性に肩こりが多いのでしょうか。原因のひとつには女性特有の「なで肩」や細い首など体型上、筋肉が少ないということもあげられますが、女性に多い冷え性も原因のひとつであると思われます。それに加え、近年はオフィスや家庭で、パソコンを使う頻度が多くなっており、姿勢の悪さやキーボード操作時の腕からくる疲労などもひとつの要因でしょう。このほか、ストレスからくる精神的なもの、目の疲れからくるもの、内臓からくるもの、生理中にひどくなるものなど肩こりの原因は一概に特定しにくく、もちろんいろいろな要因が重なっていることも考えられます。

これほど代表的な訴えでありながら、肩こりで受診するのは気が引ける・・・、何科を受診してよいのかわからない、とひどくなるまで我慢していたというお話も耳にします。体質改善を兼ねた漢方薬でよくなる場合も多いですし、内臓の病気がしつこい肩こりの原因であったというケースもありますので、慢性的な肩こりでお悩みの方は一度かかりつけ医にご相談されてはいかがでしょうか。


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2006年9月 メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームという言葉、最近よく耳にされるのではないでしょうか。

生活習慣病といわれる高血圧や高脂血症、糖尿病、肥満などはそれぞれ別の病気ではなく、内臓の周囲に脂肪がつく内臓脂肪型肥満が原因であることが分かってきました。そして、この状態がメタボリックシンドロームなのです。では気になる診断の基準をご紹介しましょう。

まず、ウエストが90cm(男性は85cm)以上であれば、どんな身長であれ、要注意。それに加えて次の(1)から(3)のうち、2つ以上当てはまればメタボリックシンドロームと言えます。
(1)上の血圧が130以上または、下の血圧が85以上
(2)中性脂肪(トリグリセリド・TG)が150以上またはHDLコレステロールが40未満
(3)糖尿病ないし空腹時血糖が110以上
 

それぞれの重症度はそれほどでもなかったり、境界域でも、2つ3つと重なると安心はできません。これらの要素は動脈硬化を引き起こし、そして動脈硬化が進行すると脳や心臓などの血管が詰まって脳梗塞や心筋梗塞など生死に関わるような病気になる危険度が健康な人に比べてぐっと高くなります。

 ひょっとして私も・・・?と思われた方、市の基本検診(費用:1、000円・国保加入者や70歳以上は無料)で上記の項目をチェックしてみてはいかがですか。


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2006年10月 クラミジア

性器クラミジア感染症は性感染症のひとつで「クラミジアトラコマチス」という病原体に感染している病気です。性感染症の中で最も流行しており、全国で約100万人以上の感染者がいると推定されています。最近、特に若い女性に急増しており、その殆どが無自覚のうちに感染しています。男性より女性のほうが3倍程度、感染率が高く、その約80パーセントについては自覚症状がないのが特徴です。5人に1人の割合で症状はでるものの、おりものの増加や排尿痛などの軽い症状なので放置されることも多いのでしょう。しかし、放置していると尿道炎、子宮頚管炎、卵管炎などを引き起こすことがあり、その結果、不妊症や子宮外妊娠の可能性も高まります。妊娠中の母体が、クラミジア感染症であった場合、生まれてくる新生児が、新生児クラミジアによる結膜炎や肺炎をおこすこともあります。また、あまり知られていませんがHIV(エイズ)の感染率が、5倍に跳ね上がるとも言われています。

クラミジア検査は、女性の場合、直接子宮頚管からクラミジアそのものを探す抗原検査が一般的です。また、血液から感染経験の有無をみる抗体検査もあります。感染していた場合は、抗生物質を1週間から2週間、服用することで治ります。

大事なことは、性感染症であるために、必ずパートナーの検査をし、感染している場合は同時に治療してもらうことです。クラミジアは一度治療しても免疫がつくわけではありませんので、パートナーが感染していれば何度でも感染します。他の感染症と同様に早期発見、早期治療が大切ですので、心当たりがあれば症状が軽くても、検査を受けられることをお勧めいたします。


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2006年11月 子宮内膜症

女性のライフスタイルはこの20年間で大きく変わりましたが、この変化は女性の身体にもさまざまな影響を及ぼしています。女性の社会進出に伴って晩婚化、少子化が進んでいますが、それは一昔前よりも、閉経までに経験する月経の回数が多くなっている、ということを示します。また最近は初潮も早まっていることから女性が一生に経験する月経の回数は増える一方。これは、ここ最近、増加傾向の子宮内膜症と密接な関係があります。

子宮内膜症とは、本来、子宮の内側だけに存在する子宮内膜が、他の臓器、例えば卵巣や卵管、腸などに増殖し、月経のたびに出血するという病気で、月経の回数が多い人ほど病気が進行し、症状が重くなる傾向があります。症状は月経時の強い痛みや下腹部痛、腰痛などのため、通常の月経痛と考えて鎮痛剤を飲んですます方も多いようですが、回数を重ねるごとに痛みも強くなってきます。

子宮内膜症の治療には大きく分けて薬物療法と手術療法の2つがあります。薬物療法、手術療法とも、それぞれ様々な方法がありますので、病状と妊娠の希望など患者さん家族の意見を考慮して、最善の方法を選択します。薬物療法では、卵胞ホルモンの分泌や働きを抑えるホルモン剤を使い、月経を一時的に止めて病巣を小さくします。

月経痛が以前と比べて強くなってきたと感じられる方は、子宮内膜症のほか子宮筋腫なども考えられますので、我慢せずに一度、婦人科の受診をお勧めします。


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2006年12月 卵巣のう腫
子宮がんは早期発見が比較的容易で、実際に早期子宮がんの80%以上が集団検診で発見されています。子宮がんはその発生する場所によって子宮頚がんと子宮体がんの2種類に分類されます。子宮頚がんは子宮の入口部にできるがんで日本人に多く、子宮がん全体の80%を占めますが、早期治療が有効で5年生存率は90%以上、また死亡率は激減しています。子宮頚がんの原因のひとつは、HPV(ヒト・パピローマ・ウィルス)というウィルスの感染と考えられており、このウィルスはセックスによって感染します。年令に関係なくセックスの経験があれば、誰にでもこのウィルスに感染している可能性があるので、すなわち癌になる可能性があるのです。子宮体がんも最近増加している傾向にありますが、子宮体がんに比べ子宮頚がんは自覚症状が出にくいため、早期発見が特に重要であるといえます。
宝塚市で行っている検診も子宮頚がんの検査で¥1,000の自己負担で受けることができます。子宮がんは閉経後にも発症しますから、閉経後も年に一度は定期的に検診を受けることをお勧めします。

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2007年1月 カンジダ膣炎

カンジダ膣炎は女性の4人に3人が少なくとも1回は発症すると言われているほど、産婦人科領域では非常によく見られる疾患です。症状は感染の程度によって異なりますが、最も一般的なものは酒かすやカッテージチーズのようなおりものが増えてきて、外陰部にしみるようなかゆみや痛がゆいようなヒリヒリ感が起こってきます。

原因となるカンジダ菌は誰でも膣や口の中、胃腸などに持っている菌なのですが、通常は無害です。しかし、妊娠、抗生物質やステロイドの服用、肥満、糖尿病、月経などの原因でおりものの中の微生物のバランスが崩れると、カンジダ菌が異常増殖して発症します。また寝不足やストレス、病気などによって免疫力が低下した時にも発症しやすくなります。たまに男性のパートナーから性生活によって感染するケースも有りますが、その可能性はきわめてわずかです。

診断は膣分泌物をとり、顕微鏡でカンジダ菌が異常増殖していることをみることによって簡単に診断されます。治療は抗真菌剤の膣坐薬が一般的です。カンジダ膣炎と同時にカンジダ外陰炎も併発していることが多いため、抗真菌剤の塗り薬も同時に投与することがあります。

痒みについては薬局で購入可能な軟膏というものがありますが、これはカンジダに対して効果はありません。しばらくこの薬を塗ってみても治らないのでしたら、カンジダを疑って、婦人科にて適切な治療を受けましょう。

カンジダ膣炎は、再発しやすいので完治するまで気をゆるめず、3週間から4週間、根気良く治療を続けることが必要です。


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2007年2月 更年期障害―うつ状態

エストロゲンは女性の体を心身共に健康に保つために欠かせない女性ホルモンです。その分泌が減少してくるのが更年期。更年期とは閉経後だけのことではなく、閉経の前後の5年くらい、45〜55才の間を指します。突然カッと顔がほてる、汗が出る、ドキドキする、足腰が冷えるなど経験したことはありませんか。これら、体の変化に加え、ゆううつになったり、落ち込んだり・・・と心の変調も現れます。

女性は男性よりうつ病にかかりやすいと言われています。というのも、月経やホルモンの状態は女性の精神状態に大きな影響を及ぼしているのです。たとえば、閉経前後、卵巣機能の低下によって女性ホルモンが減少するために自律神経失調症になったり、月経前にイライラしたり、抑うつ状態になったり(月経前症候群)、それに加え、妊娠・出産にまつわるマタニティーブルーなど、環境の変化も大きいかと思われます。

特に更年期のうつ状態は、案外長く続き回復しにくく、日常生活に支障をおこしてしまいがちです。これかな、と軽い症状に気付いたときに治療を始めれば、うつの辛い状態も軽快しやすいようです。治療は症状やご本人の希望に応じ、ホルモン補充療法(HRT)、漢方薬、向精神薬などで改善をはかります。更年期障害は、他人には理解されにくいといわれる分、精神的な負担も大きくなりがち。お早めに受診されて上手に乗り切っていきましょう。


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2008年5月 子宮ガン検診

昨年度まで子宮頸ガン検診の対象年齢は30歳以上でしたが、今年度(平成20年度)から対象年齢が20歳以上となり、1、000円の自己負担で検診を受けることができるようになりました。

日本では子宮ガンのほとんどが頸ガンで、子宮の入り口に近いところにできるため発見もしやすく、治療もしやすいガンです。子宮頸ガンの原因はHPV(ヒト・パピローマ・ウィルス)というウィルスの持続感染と考えられ、このウィルスは性交によって感染します。性交経験があれば、年齢に関係なく誰でもこのウィルスに感染している可能性があるので子宮頸ガンになる可能性があるわけです。

頸ガンは(1)若年の性交(2)妊娠出産(3)多数の男性との性交(4)不潔な性行為が発病の危険性を高めます。頸ガンは自覚症状が出にくいためほとんど無症状です。そのため検診での早期発見が特に重要なのです。

また子宮の奥のほうの子宮ガンを体ガンといいますが、増加傾向にあります。不正出血や過多月経などの症状がありますが、閉経前後の生理不順と思って見過ごすことがあるので注意が必要です。

子宮ガンは閉経後も発症しますから閉経後も年に一度は定期的検診を受けましょう。


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